2014年02月22日

about tess『shining』CDレビュー

about tess『shining』

2014年2月22日 発売

―眩しさの中で―

先に動画で公開された「shine」を聴いた際は唖然とする程のポップさを覚えましたが、
あらためて封を開けてみれば『shining』に入っているものはフルバージョンである事が分かり、
さらにドラマティックな展開となっています。

前作『Song of the Bird』はフリーダウンロードの未収録分を含めた100分の大作であれど、
そこで感じたのはシンフォニックなプログレッシヴ及びポスト・ロックで偶にある行き過ぎたカタルシスへ持っていかない、
ジャズやファンクに根付いた硬質なサウンドでした。

本作の話に戻しますと「atom」はきわめてスタイリッシュで分かり易いです。
またギター、ベース、ドラムそれぞれ2人ずつという他では殆どない編成も見事に作用しています。

彼らによって奏でられる最小限のロックオーケストラからは、
激しい「flame」や叙情的な「prayer」など多彩に広がる音を放ち、
きらびやかな風景がおのずと見えるかのようで、特に最後の「eyes」で体感できると思います。

インストゥルメンタルとして是非とも耳に触れてほしい音楽です。
posted by Valon at 00:05| Comment(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月29日

canoue『ルチカ』CDレビュー

canoue『ルチカ』

2013年12月11日 発売

―きらきらポップ―

タイトルチューンの「ルチカ」はメジャーリリースという事もあって、
霜月さん、日山さん、MANYOさんが一丸となって作り上げた感じがひしひしと伝わり、
力強さと曲名の意味である“水面のキラキラした光”の鮮やかさが共存していて、
一曲目から心を鷲掴みにされました。

インタビューでは、同人での創作と同様に自分たちが好きなように作ったとの話で、
飛び抜けながらまとまりもある完成度なのですから驚異です。
その自由さがポップな「ARCADIA」やしっとりとしたバラードの「陽のあたる季節」など、
個々の曲でも表現されています。

canoue全員がサウンドプロデュースをしていますが、
最も編曲に携わっているMANYOさんのサウンドメイキングのおかげか、
いつまでも聴いていられる全体的にやわらかい音です。
実際、CDが届いたその日に三周も聴いていました。
もちろん透明感のある霜月さんのボーカルや日山さんが描く詞も聴きどころ見どころです。

タイアップでゲームの主題歌である事を抜きにしてもポップで質の高いアルバムなので、
これをきっかけにcanoueに触れる人が増えて欲しいと思える作品です。
posted by Valon at 14:39| Comment(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月21日

downy『第5作品集『無題』』CDレビュー

downy『第5作品集『無題』』

2013年11月20日 発売

―渾身の傑作―

downy9年振りのアルバムは最初はじわじわと、
そして急に堰を切ったように止め処なく音の津波が襲い掛かってくるという印象です。

第1作品集の頃からずっと感じていたのですが、
ギターが音響面で鍵盤に近い役割として鳴らされており、
とりわけ今作では最大限に活かされています。
リズムの反復や静と動という意味で正確無比な人力エレクトロニカと形容出来ても、
全く踊れないベースとドラムのリズム隊は健在。

これまでは英語的な発音という訳でもなくあくまで日本語の詞でありながら、
あえて聞こえることを回避し一つの楽器として機能させていたボーカルですが、
この5作目では「下弦の月」のように少し聞き取れそうなリスナーに寄り添った曲があります。
しかしそんな柔らかい感覚は、彼らが奏でる音塊が容赦なく吹き飛ばしてくれること受け合いです。

「曦ヲ見ヨ!」「春と修羅」「燦」といったそれぞれの曲を紐解いていけば、
フレージング等は意外とシンプルなロックの方法論に則っているものの、
それを彼らは完全に消化して別次元の物にしているのが他のバンドと一線を画している理由でしょう。

捨て曲なしと言葉を耳にして、本当かなと考えてしまうほうなのですが、
このアルバムに関してはその言葉が当てはまると思いました。
「『 』」からクリーンなギターリフが心地好い「椿」まで微塵も隙がありません。

downy作品でも飛びっきりに複雑にもかかわらず決して難解ではない聴き易さがあり、
楽曲の凄まじさに気圧されるのと同時に音楽の可能性を感じました。

これは現時点で到達し得る最高レベルであり、日本人の感性だからこそ生まれた、
怪物のごときマスターピースだと思います。
posted by Valon at 22:55| Comment(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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