2013年11月09日

Go-qualia『Xeno』CDレビュー

Go-qualia『Xeno』

2013年11月11日 発売

―彼が観た宇宙―

宇宙間での交信から幕を開ける、タイトルトラックでもある「Xeno」。
続く「Heliosheath」ではチルアウトな曲にゲストのやなぎなぎさんのボーカルと、
門脇舞以さんの朗読が見事に絡み合っています。

全編Go-qualiaの真骨頂かつ『Puella Magi』には見られなかったフォークトロニカ風の「Pleiades」や、
やなぎなぎさんの歌声を加工し構成する「Oort Cloud」など新しいアプローチが加わっており聴き所満載です。
その中で「Betelgeuse」はゲストのお二方が再共演する緩やかに展開していく曲で、
さまざまな感情が言葉や音となり渾然一体となって迫ってくる幻想的な楽曲にひたすら驚嘆し、
すっかり気に入りました。
「Coalsack」も暗黒星雲を表現した、Remnantのラストを飾るに相応しい危うくも美しい曲です。

コンセプトには観測宇宙と星の一生を扱っていますが、本作を聴いて、
エレクトロニカを中心とした音楽的手法は彼にとってテーマを演出する手段に過ぎないと感じました。
また、ほとんどの曲名が天文用語や星の名前および言葉なので、意味を考えて聴くのも面白いです。

トラックメイキングは尤もながら作詞まで手掛けた点において、
Go-qualiaがいちソングライターとして素晴らしい事を確認出来たアルバムです。

最後に余談を。
宇宙の仕組みに関係するヒッグス粒子の研究(無論多方面で宇宙の調査は年々進んでいますが)が、
ノーベル賞を受賞した日の前後に『Xeno』の発表がありました。
しかしこれは、前作でのGo-qualiaのインタビューを振り返れば、Twitterの発言ではおどけつつ、
制作時には相当に研究熱心な面を見せる彼の事ですから、以前から取り上げたいテーマが実って重なった、
素敵な必然なのだと思いました。
posted by Valon at 22:56| Comment(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月25日

N-qia『Fringe Popcical』CDレビュー

N-qia『Fringe Popcical』

2013年10月26日 発売

―ポップアートな音の魔法―

ファーストアルバムの発表と同時にSerphであることを明かしたTakmaと、
ヴォーカルNozomiによって2010年に結成されたユニット、N-qia。
今作ではSerph名義で一際感じられたジャズの要素は見られず、
Nozomiの羽ばたくように囁く歌声と煌びやかなサウンドで構成されています。

タイトルからは、Fringe=過激、Pop-cical=大衆のクラシック、と、
後者は造語でしょうが、とてつもなくポップでありつつも攻撃的である事が分かります。

「shootingstar」「cocoonsong」で顕著で、全曲通してもそうなのですが、
まるで織機やガジェットを動かしている手作り感のある音が心地好いです。
動画も先行公開された「tree」は既に何度も聴きましたが、
改めて音の配置が綿密な楽曲だと気付きました。
中にはダウナーな旋律と環境音が融合した「someday」や展開の激しい「tobu」など、
バリエーションに富んだ作品となっています。

あらゆる音楽の手法が取り入れられていて実に情報量が多く、
体験してみてとしか言えないくらいの内容です。

全く異なる表現の音楽家ですが、国府達矢の『ロック転生』を想起しました。
どんな言い訳も皮肉もなく純粋にポップ・ミュージックを追求して、
非現実的な音楽によって楽しませる遊び心のある趣き。
聴いた後にはとても満たされた気持ちになりました。

N-qiaの二人がいまの状況に対する大切な想いを音に込めたであろう、
絵画のように鮮やかな作品です。
posted by Valon at 19:46| Comment(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月10日

霜月はるか『レムルローズの魔女』CDレビュー

霜月はるか『レムルローズの魔女』

2013年10月9日 発売

―凄烈なる交響曲―

最初に聴き終わって頭に浮かんだのは“すごい”の一言。
それ以外の言葉が出て来ないほどに圧倒されました。

日山さんによって描かれる物悲しくもどこか希望をおぼえる物語。
そして、彼女の作品ではお馴染みのMANYOさんや弘田さん、
坂本さんの書いた曲に、霜月さんの透き通った歌声とコーラス、
楽器隊の演奏が絡み合う濃密な音の世界。

並行しているcanoueの『最果ての塔』も素晴らしかったですが、
その制作のテンションが上手く今作にも表れたと押して知れます。

歌詞を読んでストーリーを楽しめるのは当然ながら、
ファンタジーボーカルアルバムに見られる生楽器指向の音作りは身体で感じて堪能出来ました。
全4楽章からなる「呪われた姫君〜忘却のレムルローズ〜」には最早感服するばかりです。

シンガーソングライターの活動、kukui、Sound Horizonのサポート等を経た、
今の霜月さんだからこそ表現し得る新基軸かつキャッチーなアルバムだと思いますので、
多くの人に聴いてほしいです。
posted by Valon at 22:32| Comment(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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