2013年11月21日

downy『第5作品集『無題』』CDレビュー

downy『第5作品集『無題』』

2013年11月20日 発売

―渾身の傑作―

downy9年振りのアルバムは最初はじわじわと、
そして急に堰を切ったように止め処なく音の津波が襲い掛かってくるという印象です。

第1作品集の頃からずっと感じていたのですが、
ギターが音響面で鍵盤に近い役割として鳴らされており、
とりわけ今作では最大限に活かされています。
リズムの反復や静と動という意味で正確無比な人力エレクトロニカと形容出来ても、
全く踊れないベースとドラムのリズム隊は健在。

これまでは英語的な発音という訳でもなくあくまで日本語の詞でありながら、
あえて聞こえることを回避し一つの楽器として機能させていたボーカルですが、
この5作目では「下弦の月」のように少し聞き取れそうなリスナーに寄り添った曲があります。
しかしそんな柔らかい感覚は、彼らが奏でる音塊が容赦なく吹き飛ばしてくれること受け合いです。

「曦ヲ見ヨ!」「春と修羅」「燦」といったそれぞれの曲を紐解いていけば、
フレージング等は意外とシンプルなロックの方法論に則っているものの、
それを彼らは完全に消化して別次元の物にしているのが他のバンドと一線を画している理由でしょう。

捨て曲なしと言葉を耳にして、本当かなと考えてしまうほうなのですが、
このアルバムに関してはその言葉が当てはまると思いました。
「『 』」からクリーンなギターリフが心地好い「椿」まで微塵も隙がありません。

downy作品でも飛びっきりに複雑にもかかわらず決して難解ではない聴き易さがあり、
楽曲の凄まじさに気圧されるのと同時に音楽の可能性を感じました。

これは現時点で到達し得る最高レベルであり、日本人の感性だからこそ生まれた、
怪物のごときマスターピースだと思います。
posted by Valon at 22:55| Comment(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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